あっという間に100名近い利用者数

2018/4より販売開始されたPips_miner_EAですが、すでに100名近い利用者がいらっしゃるようです。開発者はねこ博士様ですので、販売力がすごいですね。販売価格が低く抑えられたEAなので買いやすいということもあると思います。このEAの人気でMT4を利用した自動売買のすそ野が広がることは大歓迎ですが、少しだけ意見を書きたいと思います。

Pips_miner_EA
多頻度トレードによる高収益を狙うEA

EAの仕様について

  • 取引通貨ペア GBP/USD
  • 取引スタイル スキャルピング
  • 最大ポジション 3ポジ (10以下で調整可)
  • 使用時間足 M15
  • 両建て なし
  • 取引時間 日本時間の朝の5時~10時付近でエントリー

高頻度取引タイプだそうなので、取引がないとちゃんと動作しているのか心配になってしまう人には喜ばれるEAだと思います。だいたい1日1トレードをするEAです。また、ねこ博士様のEAの独特なパラメーターである「boost値」はこのEAの設定にもあります。boost値はエントリー回数のコントロールになる大事な設定値です。

なお、ロジックに関する具体的な内容はゴゴジャンさんのEA説明内容には記載ないので、どのような方針でエントリーを行う仕様なのか詳細がわかりません。

EA利用にあたって

非常に速いペースで利用者が増加しています。EAを購入されてしっかり検証したうえで慎重に利用される場合は何の問題もありません。ただし、新しいEAでは運用に少し配慮が必要であろうと感じます。

コミュニテーを拝見するとはじめてEAを利用される方も多く購入されているように感じましたので、ちょっと書かせていただきました。

取引通貨ペア

GBP/USD通貨の取引量シェアは全体の約10%といわれており、主流の通貨ではあるもののEUR/USDやUSD/JPYに比べると取引量が小さくなります。特に日本人ではこの通貨ペアを主として運用している方は少ないのではないでしょうか。

スプレッドは、小さいことがうたい文句の日本のFX業者においても、EUR/USDやUSD/JPYに比べると高い値となります。例を示します。

  • OANDA JAPAN 東京サーバー
通貨ペア スプレッド
USD/JPY
0.3銭
EUR/USD
0.4~0.5pips
EUR/JPY
0.4~0.5銭
GBP/USD
0.8pips

スプレッドが大きくなれば取引手数料が多く発生することになるため、その影響を考慮して損益を分析することが必要となります。ゴゴジャンさんに掲載されているバックテストのスプレッドは1.5pipsとなっています。GBP/USDはスプレッドが不利なFX業者も多いことに注意が必要で海外FX口座での利用には向かないEAではと考えます。

バックテスト結果(ゴゴジャン)

ゴゴジャンさんのバックテスト結果での判断となりますが、プロフィットファクターは特別に高い値ではなく1.30(販売当初)と現実的な値になっています。これはよい傾向です。ただし、バックテストにおける勝率は約91%ですので、スキャルピングの特徴であるコツコツドカン型のEAであると言えるでしょう。基本的には連敗しないことが勝つための前提となるEAであるため、連敗が続いた場合はEAの必勝パターンとは異なる相場の形態に入ったことが考えられます。リアルトレードでその現象が発生したら少しの間、ロット数を下げて様子をみるなど運用方針をあらかじめ決めておくのが良いです。

バックテストのグラフを見る限り、好調期と停滞期がはっきりしているEAだと考えられます。現在のフォワードテストは右肩上がりの好調期に入っていると考えられるので、リスクに配慮したロット設定を行い、一回のドローダウンで大ダメージを受けないように運用方法への配慮が必要です。なお、まだフォワードテストの期間が短いため、実トレードでバックテストと同じ傾向となるかどうかの検証が確認できません。リスクとリターンはトレードオフの関係ですので、一定の期間たとえば6か月程度は様子を見ながらのトレードがよいのではと考えます。

・ゴゴジャンさんサイトに記載されるバックテストグラフ

Pips_miner_EA

フォワードテストの状況より

この記事を書いている時点、ゴゴジャンさんのフォワードテストはまだ4月分(一か月未満)しかありません。そのグラフの特徴としては含み損益が大きいなあと感じることです。オレンジに対して黄色いラインが含み損益の状況です。結果として相場が回復したため収益はプラスとなっているのですが、中間で生じている含み損の状況をみて我慢できる忍耐が必要ですね。取引の途中で心配となってEAのポジションを強制決済してしまう経験のあるには厳しいEAとなるかもしれません。これ、自分がそうなんです。また、ストップロスが深めに設定されているため、含み損が大きく発生する期間がたまに生じることを意識して取引ロット数の設定が必要です。

 Pips_miner_EA フォワードテスト

EAではドローダウンが必ずある

Pips_miner_EAはバックテストの勝率が約91%だということは書きましたが、ということは10回に1回は負けトレードがあるということです。これはEAとして勝率が高いほうですが、負けが少ないということは逆に1回負けると資金への影響が大きいとも言えます。バックテストを確認するとおおむね一度のドローダウンで8回分の利益を吹き飛ばしているように感じます。このため、ドローダウンが連続するとこれを取り戻すのに時間がかかるわけです。

このEAは最大で3ポジションを同時にもつことがあるのですが、そのときにドローダウンがくれば3回負けたのと同じ計算になります。くどいようですが、これらのリスクを考えてロット設定を抑えた運用を行っておくことが大事です。

EAは利用者の運用方針次第で武器にも弱点にもなりえるツールです。このEAが良い成績を残して利用者より良い評価を受けることを期待しています。

Pips_miner_EA
多頻度トレードによる高収益を狙うEA
多頻度トレードによる高収益を狙うEA?|?fx-on.com