はじめに
このブログはMT4とEAを使ったFX自動売買の検証を行っています。自動売買で利用している「EA」は、FX取引のルールをプログラム化して、その設定に従ってMT4に売買を指令するシステムトレードの道具になります。
このシステムトレードでは、あらゆる取引ルールに基づいて売買サインを確認したときに、手動で取引の命令を人の手でだすという手法もありますが、MT4とEAを使った手法では、これがすべてパソコン(サーバー)に任せた自動取引になるのです。EAは自分が仕事や寝ている間もFXの値動きを監視して、自分に設定されているルールに従って淡々と仕事を行っていく相棒というわけです。
.EAの基本を理解しよう
EAを使ったFX自動売買に興味を持って慌てて準備したところで、知識を得ていない状態で取引をはじめてしまうと、エラーや不作動などのトラブルに見舞われる可能性が高くなり、出鼻を挫かれることも考えられます。まずは、そのような困ったことにならないために、EAの基本的なしくみを理解しておく方が良いと思います。
しかしながら、実際のEAのプログラムの中身を素人が覗いたとしても容易に理解できるものではなく、EAのプログラミングの内容を理解しようということではありません。将来的には自分でEAを作ってみようと考えている人もいるかもしれません。でもこのブログでは、EAを使ったFX自動売買の初歩的な知識を理解していただくことを主として、記載させていただきます。
もっと深く詳細に知りたい方は、自動売買の経験を積みつつ、徐々にその理解を深めてください。
2.EAのしくみとは
それでは、EAのしくみを具体的に確認しましよう。自動売買を行うEAとは、独自の取引ルールがプログラム化されたシステムファイルになります。EAによる自動売買を実行するためにはEAの本体ファイル、インジゲーターファイル、DLLファイル等の複数のファイルを扱う必要があります。これらのファイルは取り扱うEAにより異なるため、利用するEAの取り扱い説明のテキストファイル等を確認(熟読)して取引の準備を進めましょう。
自動売買EAの内部には売買エントリーから利食いや損切までの一連の取引に関するシステムが組み込まれており、過去のチャートの値動き等を考慮して、利益を出せるように考えられたアイデアがプログラムに組み込まれています。自動売買EAの開発では、何等かの定められたルールをプログラムにインプットし、これをバックテスト(過去の相場に当てはめた検証)やフォワードテスト(実際の自動売買成績)の確認を行いながらEAの性能を調整、改良しています。このため、一旦手に入れたEAがその後バージョンアップすることも多くあり、バージョンアップがあった場合はその都度MT4で利用するEAのプログラムを差し替えることになります。
3.EAはFX取引で万能なのか
FX口座にはバーチャルな取引ができるデモ口座と資金(実際のお金)を利用した取引を行うリアル口座(ライブ口座とも呼ぶ)があるわけですが、EAの開発はデモ口座を利用して行っていることが多いと思います。ただし、デモ口座とライブ口座では、EAによる自動売買の取引結果は残念ながら完全には一致しません。
結果としては、デモ口座のほうの成績が良くなってしまうケースが多く、リアル口座に移し替えた途端に優秀だと思っていたEAがドローダウンを繰り返すような損失を被る結果となる場合もあります。また、MT4で実施しているバックテストでは、過去の値動きを情報として取り入れて検証を行っています。これらはFX業者から入手可能な過去の値動きのデータに基づき実施している場合が多く、データの抜けや誤り、利用する値動きの時間軸との関係によっても成績が変わるので、必ずしも精度が高い情報とは限らないのです。情報の分析にはこのような特徴にも注意が必要です。
利用者が多いEAには、スキャルピングの取引手法を使うものが多くあります。
その特徴として小さな値幅を狙って利益を稼ぐ手法となるため、利用するFX業者のスプレッドの影響が大きくなるケースがでてきます。このため、同じEAを使って異なるFX会社で取引を行っても、利益が出やすいブローカーとそうでないブローカーとの差が出てくる等、利用するFX業者との相性にも取引結果が左右されることも大きな特徴です。また、同じFX業者で開設した2つの口座のそれぞれに、まったく同じEAを使ったとしてもその結果が異なってくるような場合もあります。この原因はインターネットを利用した情報伝達による時間の誤差やEAが組み込んでいるインジゲーターの仕様等の様々な要因が考えられますが、必ずしもその要因を断定できるものではないようです。
このように、同じEAを使う条件としても、長期にわたって誰もがまったく同じ結果をもたらすということはありません。いま行われている取引の結果は自分だけのものであり、他の人の取引結果と一致しないことがあるものだと理解しておくべきなのです。他の人との取引の違い等に過度に神経をとがらせてしまうと、せっかくの自動売買の面白さやその意味が半減してしまうので、結果には誤差がつきものであるということを理解していただきたいです。
4.自動売買だからメンテナンスは不要?
EAを利用した自動売買は、パソコン(サーバー)がエラーを起こさない限り、自分の代わりにプログラムされた売買ルールに基づいて取引を継続してくれる優れたツールです。
しかし、任意の状況に対して臨機応変な対応ができるのは人間だけが成せる業であり、完全に機械に任せる状況を100%信頼できるものでしょうか?
私は毎日一回、実際には会社から家に帰ってきてからという時間になりますが、自動売買EAの動作状況や自分が利用している外部サーバーの動作に異常がないかを確認することにしています。
また、FX業者によっては取引の状況をスマートホンのアプリ等でリアルタイムに送付できるサービスがあります。
動作状況をどこにいても監視できるようにすることも実は可能です。
便利な世の中だからこそですが、その便利さを上手に活用し、重大な問題を生じるミスがシステムに生じないように自分でチェックするという心持は必要でしょうね。
5.EAはいったい何者なのか
一般的に販売されているEAのロジック(取引ルール)はそのEAの要であり、公表されていないことがほとんどでブラックボックスになっています。
いつ、どのタイミングで売買をするのか、途中で取引を中止するルール等も作者や販売者以外ではその仕組みがわからないようになっていることが多いでしょう。
これは商品を販売する側の立場としては当たり前のことと捉えるべきです。また、使うEAを選ぶ立場となるわたしたちは、EAのバックテスト結果や最近の成績だけを評価の対象とするのではなく、自分がイメージしている取引パターンとEAとの相性はどうか、リスクはどのようなところにあるか等の各々のEAの特徴をしっかりつかむことが必要です。
いまでは、EAを紹介するブログやホームページによって、多くのEAの検証結果や紹介情報が公表されています。
EAの販売促進を目的とした情報も多いので、すべてを鵜呑みにすることはできませんが、これらの情報を利用しない手はないでしょう。
十分に調べて自分の良きパートナーとして働いてくるEAを見つけることができるかがとても重要と考えています。
自動売買を行うための基本動作は、MT4(メタトレーダー)でEAを実行する手順さえしっかり理解できていれば、他に問題はありません。
道具として利用することが目的ですので、どのようにつくられているのか、どんなプログラミングテクニックと組み合わせになっているのかという作者の企業秘密に近い情報のすべてを知る必要がありません。
車を運転することはできても、車を自分で設計して一人で造れる人はいないですよね。
自動売買のEAも同じであり、自分が利用するときのイメージを明確にして、注意するポイントを自分で考えることで、大きな操作上の失敗や想定外の大きな損失を防ぐことができるでしょう。
道具をうまく使いこなしていくことが重要なのは、いつのときも同じです。
EAだって極論は道具です。どんなEAが欲しいのかを考えていく中で、そのEAの特徴を自分なりに理解を深めることができれば、自動売買に必要な最良のパートナーとして、優れたEAを見つけることができるとわたしは確信しています。
EAを選んでFX自動売買をはじめたらそれで終わりではなく、方法について調整や改善、知識向上を図る意志を持ち続けることで、成功への道が開けるのではないでしょうか。